2014年10月06日

宮崎ますみさんの「びぶれ」コラム25

昨夜より、激しい雨と風が続きましたが、やっと台風一過の青空が広がりはじめました。


静岡新聞びぶれに、宮崎ますみさんののコラムが掲載されました。

『僕、何ができるんだろう』
 
次男と二人で食事に出掛けた時のこと。息子が不安そうにつぶやいた。
「僕、何ができるんだろう」

「あなたは何でもできるのよ。可能性はいくらでもあるんだから」

「ウソついちゃいけないよ」
高校2年にもなると、そういう言葉は慰めにしか聞こえないのだろう。
私は、本当にやりたいことを自分でイメージできるのなら、そのことはできるのだという話を息子にしました。

すると、彼はぽつんと言ったのです。
「僕は、普通じゃないの?」

息子はとてもユニークなキャラクターをしている。
人と自分が何となく違うことに気づいているのだろう…。
私は彼がまだ小学校低学年だった頃のことを思い出していました。

学習支援センターに通い始めた彼を迎えに行った時、
両手に重い買い物袋を提げていた私を見て「僕、一個持つ」と言った息子。

「どうして、こんな優しい子にハンディを背負わせたの」と、
私は神様に訴えたい気持ちになりました。
この子は将来、何ができるのだろう。

すると、私の顔を見て言ったのです。
「僕、何だってできるよ」

この子、すごい! 普通の人は持っていないアンテナを彼は持っている。
私はその時、息子の才能を壊さないよう、生まれながらにして備わっている感性を伸ばしていこうと心に誓ったのです。
その時の会話を思い出しながら、息子に私は言いました。

「私が同じことを心でつぶやいた時、あなたが言ったのよ。『僕、何だってできるよ』って。
普通って何?普通という枠組みの中に入る必要なんてないのよ。
あなたはあなたのままで素晴らしい存在なの。
この世にはね、いろんなキャラクターの人がいるのよ。
あなたは誰かのようになろうとしなくていいの。
あなたはあなたらしく輝ける世界を生きればいいの。
自分を知って、あなたらしい場所を選べばいいの。
そしてあなたの素晴らしさをもっと表現できるようになるために、もっと勉強する必要もあるのよ」

息子は安心したように、料理を食べ始めた。面白いキャラでいい。たくましく育ってほしい。



宮崎ますみさんの「びぶれ」コラム25






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